以前、個人noteに書いた記事のサイト移植版です。多少の加筆修正あり。
株式会社CASE・山形西川町の拠点にお邪魔した時、地域でやりたいことをいくつも実践する熱量の高いママさんグループに関わらせていただき、街のイルミネーション&点灯式のイベント運営に参加した。
そこで感じたママさん方含め住民の方々の地域への想いの強さと行動力に感銘を受けその源を辿っていくと、ある1つのダンスサークルを土壌にして動きが生まれていることを知った。
今回はそのダンスサークルに取材を行い、西川町の住民の想いに迫っていこうと思う。
山形県西川町という人口5000人弱の小さな町に、15年以上続いている子ども向けダンスサークルがある。
参加費はたったの毎月1家庭500円。
町営体育館のスタジオ利用料と少しの備品を揃えるのに賄っているだけで、講師への謝礼等は無い。
現在は2歳から小学校6年生まで、約30人ほどが在籍しており、毎週月曜日の夜は少し手狭なスタジオに楽しそうな子どもたちの声が響き、スタジオ横の通路には何人ものお母さんお父さん方が談笑を楽しむ風景が広がる。
講師兼代表を務めるのは4児の母で保育士のひろこ先生
ひろこ先生が15年前に始めた小さなダンスサークルは、今や西川町の子どもたちと親世代にとって欠かせないコミュニティとなっている。
例えば、色々な情報交換の場となったり、お下がりを共有したりなど。
またここから派生したママさん会が発起して街でハロウィンイベントやイルミネーションイベントを興したり、もちろんそこではスマイリークラブが発表を行い地域の方々に感動と笑みを届ける。
気づけばスマイリークラブは地域を巻き込んだ活動の中心地となっていた。
そんなスマイリークラブの立役者、ひろこ先生に話を聞いてみた。
ースマイリークラブを始められたきっかけは何だったんでしょうか?
今から15年前に山形市内のダンスクラブでインストラクターとしてダンスを教えていたんですけど、その時に「西川町スポーツサポート」という地域の健康増進のプロジェクトがあって、その担当者の方に西川でもダンスを教えてみないかと誘われたのが始まりです。
1年目は1人2人と少なかったんですけど、2年3年とやるうちにだんだんと人が増えてきて、5年目くらいからは20-30人ほどの数になってきて1つのコミュニティになっていったかなという感じです。
ーなぜ、15年以上無償で活動しているのでしょうか?
子どもが好きっていうのはあるんですけど、私がダンスが大好きでダンスが踊れて楽しくて、しかも子どもたちが「せんせー!!」って言って来てくれて、他愛のない話を気軽に話しかけてくれるのが嬉しかったり、普通に生きてたら話しかけられない子どもたちとワイワイしてるだけでめちゃくちゃ楽しいんです。
スマイリーは大好きなダンスを家を抜け出してやれて、生活の息抜きの場になってます。
あとは西川町からダンスを習いに行こうとすると、普通のダンス教室は高いし、遠くにしかなくて行きづらい。
だから西川の子どもたちに気軽にダンスに触れ合えるようにしたいなと思って活動しています。
ーひろこ先生にとってダンスとは?
元々、小さい頃に人前に出るのがすごく苦手で、親が困るくらい親から離れられなかったんです。
ものすごく静かで自分の思いを表現することができずにいじめられていたり、自分の居場所がなくてとても生きづらかったんです。
そのまま社会人になったんですけど、全然社会生活が豊かじゃなくて、でもずっと自分を変えたいとは思っていたんです。
20歳のある時、たまたまダンス教室を見に行くことがあって、踊っている人たちの自分を表現している姿にめちゃくちゃ感動したんです。
山形市の方だったんですけど、次の週から毎週通うようになって、厳しい家だったので夜中に出歩くことも禁止だったんですけど、それだとダンスに通いに行けなかったので親と喧嘩して、家を出るほどダンスにのめり込んでいきました。
日常生活でどんなに悩み事があってもレッスンに行けば楽しさの中に厳しさもあり、頭を空っぽにしないとできないことで、レッスン後は汗でTシャツがびしょびしょで、爽快感があって、悩みなんてすぐに吹っ飛んでいた記憶があります。
ダンスに出会ってから、日々の生活がガラッと変わり、レッスンの日になると朝からとても楽しみでした。そういうワクワク感はこれまでの人生では味わったことがなくて、毎日が充実した物に変化しました。
もし、子供の時にダンスに関われていたら、人前に出れない自分を表現できない性格も変わっていたのかもしれないと思うところがあって、今のそういう思いをしている子どもたちに、ダンスを通して広い世界を知ってほしいし、自分がいてもいい場所が学校以外にもあるということを知ってほしいと思っています。
ダンスに限らずですが、何か1つに本気になって取り組むことは、自信に繋がりますし、今後その気持ちは社会生活を生き抜く上でとても重要な物になると思っています。
子ども達には、一生懸命練習したダンスを沢山の方の目の前で思いっきり披露して、それを沢山の方々に褒めてもらって、また次頑張る‥その過程を経験して自分に自信を付けて欲しいと思っています。
自分に自身や余裕があることで、他人を認められたり、他人を気にかけ優しくできる人になれると思っています。
ダンスを通して、頑張る自分自身を大好きになり、心を豊かにすることの手助けをできたらとても嬉しいなと思っています。
ー今後スマイリークラブはどのような活動をしていくのでしょうか?
スマイリーに参加してくれる子たちは中学生になると、やっぱり部活がメインになって、夜は塾や習い事などでだんだんと離れていってしまいます。そのあとダンスに関わる子はほとんどいなくなってしまうっていうのがあって、もっと西川町で老若男女ダンスを楽しんでもらいたいなと思っています。
元々西川にはダンスの発表の機会が少なかったり、ダンスがメインのイベントなどがないので、将来的には西川でダンスフェスを開催したいなと思っています。
西川町でダンスの輪を広げて、スマイリーを卒業した子が西川に戻ってまたどこかでダンスを踊っているような、西川がダンスで盛り上がる街になっていけたらいいなと思っています。
ーありがとうございました。
親が振り付けを覚えないと小さい子供は家で練習できないから、レッスン時に子供と一緒に踊り始めて町の文化祭で一緒に発表することもよくあるという。
ママさん方になぜそれだけの熱意があるのかを聞くと、
西川という小さな街だからやりたいことを存分にできるし、行政に「やりたい!」というと、色々な形でサポートしてくれる。他の大きい都市ではできないと思う。地方(ここ)だからできる。ひろこ先生に頑張ってもらっている分、子供達が発表できる場を増やそうとみんなで色々なことに挑戦している。という。
このように「無ければ自分たちでやる、作る」というマインドとそれをサポートする周囲の環境とその土壌が西川町には根付いているのではないかと今回の取材で筆者は感じた。
老若男女問わないダンスの輪が西川町で広がっていき、地域が盛り上がっていくことを筆者は応援しています。
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