【KYOTO GRAPHIE 2023】京都国際写真祭。世界屈指の文化都市・京都で行われる伝統と革新の写真祭。

イベント

桜散り、新緑の息吹が真っ盛りになるこの時期。

暑すぎず寒すぎず、京都は心地よい春の陽気に包まれています。

そんな京都が最も美しいと言われる春に、京都市内の歴史的建造物や寺社仏閣、ギャラリーなどを舞台に開催される国際的写真展「KYOTO GRAPHIE」が毎年開催されています。

KYOTO GRAPHIEは日本および海外の重要作品や貴重な写真コレクションを、趣のある歴史的建造物やモダンな近現代建築の空間に展開し、ときに伝統工芸職人や最先端テクノロジーとのコラボレーションも実現するなど、京都ならではの特徴ある国際的な写真祭が行われています。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭
「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」は、京都を舞台に開催される国際的な写真祭です。2024年、第12回のテーマは「SOURCE」。

5月上旬、私はたまたま京都にいた期間を知り合いに誘われてKYOTO GRAPHENEを知ったくらいの写真初心者なのですが、普段何気に撮っていて身近に感じていた写真というもののプロフェッショナルなクリエイションと力強いエネルギーを間近に見て「写真ってこんな奥深いんだ」と世界レベルはやっぱすごいなと感じました。

春の気持ち良い京都の街を歩きながら、市内十数か所に展示されている写真の数々を巡るKYOTO GRAPHIEは、それぞれの会場に世界的なクオリティの独創的な世界が構成されています。

今回はその中で私が感激したスポットをいくつか紹介します。

09 二条城 Yuriko Takagi「PARALLEL WORLD」

本展のタイトル「PARALLEL WORLD」とは、共時的に存在する二つの世界のことを指し、高木は二条城 二の丸御殿台所・御清所にて二つのシリーズをパラレルに展示します。一つは日常的に民族衣装を着ている人達を12カ国で撮影したプロジェクト〈Threads of Beauty〉。もう一つはDIORのために撮り下ろした新作や、ポール・スミス、イッセイ・ミヤケ、ヨウジヤマモト、ジョン・ガリアーノなど80年代から現代までのファッションを撮影したシリーズです。

KYOTO GRAPHENE HPより

入って一番に目にするのはこの景色。二条城という日本の伝統建築の中に飾られる世界各国の民族衣装。モノクロのスナップであることが完璧な調和を生んでいます。

入口横と、入口の前に飾られた超大判印刷の写真。この写真展ではアワガミファクトリーさんという阿波和紙を生産している会社が開発した写真印刷に向く和紙を活用しており、こちらも日本×世界というテーマを意識したKYOTO GRAPHENEらしい演出の一つです。

裏は障子のようになっており、こちらも日本らしい工夫が見られます。

民族という意識が国家という大きな規模になり、生活様式が変容していく中、”民族衣装を日常的に来ている人々”は急速に消え始めた。
そのスピードは予想以上にはやく、気づいた1998年には今記録しなくては!という焦りからプロジェクト〈THREADS OF BEAUTY〉を急遽始動した。
それと並行して、ファッションデザイナーやクリエーターたちは常に新しい試みに挑戦し続ける。時代と共に素材の可能性の進化もめざましく、美しさのみならず、機能性を重視する傾向も加わる。
ファッションは時代を反映し、同時に時代に影響をも与える。民族、人種、ジェンダーを超えた新しい提案も生まれ、私たちに夢を与え続けてくれる。

ある時期は、民族衣装の急激な喪失に深い悲しみを覚え、現代のファッションの在り方に疑問を持ったりしたが、今ここに至り、この二つの世界を長い間行き来しているうちに、全てには必然性があり、どちらの世界にも愛を感じるようになった。

写真家 高木由利子
ブランドファッションの写真たち。

僭越ながら、私がこの写真展で感じたのは「写真の立体感」。
全て被写体が浮き上がってくるかのような写真の撮り方がものすごく、実はそこに実物が展示してあってガラス一枚の奥すぐそこに実物があるかのような印象を抱きました。

ファッションを題材に衣服や人体の写真を撮り続けてきた高木さんの「人の存在」を表現する写真アプローチは、私にとって現実を模写するような写真と違う、写真の世界の中に人をどう表現するかという逆の発想で「写真、、、おもしれぇーーー」と感じさせられるものでした。

06 誉田屋源兵衛 黒蔵 Yu Yamaguchi 「自然 JINEN」

山内悠は屋久島に9年にわたり何度も通い、毎回単身で約1カ月を森の中で過ごしました。大自然の中で自分の中にある不安や恐怖心に気づき、自然との距離を感じたことからこの旅は始まります。猿やほかの動物は何事もなく活動しているのに、なぜ人間である自分は恐れを抱くのか、この感覚は何なのか。昼夜問わず森の中を歩き続け、自身の内なる恐怖心や感情と向き合う中、山内は様々な巨木に出会い 、その存在によって外界へと意識が引き戻されました。その巨木を撮影することで「樹と自分自身がつながり、自然と自分との境界線が曖昧になった」と山内は語ります。自分自身も何も恐れる事のない自然の一部なのだと悟った瞬間でした。境界を引いていたのは実は自分だったのだと気付き、いかに自分の意識が作り出した幻想(表象)の中に居たかを実感するようになりました。そして、このような内(自身)と 外(外界)の行き来を何度も繰り返した森での最後のとき、闇夜にヘッドライトで照らされて現れた恐怖を煽る森の樹々が、夜明けには光に照らされた神々しい存在へと変化するさまを目の当たりにしたのです。そのとき、ずっと抱えていた恐怖心は消えていました。目の前に在る現実とは何なのか、山内はその疑問をずっとカメラを通して問いかけてきましたが、それは自らの内にある世界の投影であることを写真が見せてくれたと語ります。

KYOTO GRAPHIE HPより

昼と夜の対比、展示演出として白の空間は階段を上がった先にパッと視界が開けたところにこの3枚の写真が展示されており、まさに神々しい存在の世界。暗闇の空間は、その下に作られた暗幕の中、夜の森の木々が闇夜に光る星のように展示されており、ただ、写真を見るだけでなく、実際にその写真を撮った時の情景が思い浮かぶような演出がすばらしく、写真はレンズの中の世界だけじゃなく、実際の物があってこそ成り立つものだから、それを見る私たちも写真を撮られたその時がどうだったかを妄想しながら見るとより楽しめるなと感じさせてくれました。

番外編 KG+「JAPAN PHOTO AWARD + INTUITION | 2023」

KG+とは、これから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的に、2013年よりスタートしたアートフェスティバルです。KG+はKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭と連携し、同時期に開催することで国際的に活躍する写真家やアーティスト、国内外のキュレーター、ギャラリストとの出会いの場と国際的な情報発信の機会を提供します。

JAPAN PHOTO AWARDとは、世界に向けて日本の新しい才能を発信することを目的に2013年に設立されたアワードです。審査員は、世界の第一線で活躍するエディター、キュレーターを招聘し、世界を志す熱意有る方たちに挑戦の機会を提供します。本アワードの受賞者達は、写真集の出版、美術館での個展、国際的なファッションブランドとのコラボレーション等、着実に実績を残し活躍の場を世界に広げています。

JAPAN PHOTO AWARD HPより
アワード受賞者の作品

KYOTO GRAPHIEと同時開催されていたJAPAN PHOTO AWARD+INTUITION | 2023。
実は今回KYOTO GRAPHIEに誘っていただいた方の写真が、アワードの受賞は逃したもののこれから活躍が期待される写真家を集めた”INTUITION”部門に選ばれていたため、それを見にホテルアンテルーム京都までやってきました。

INTUITION部門

KYOTO GRAPHIEの今までの作品とは違い、新進気鋭な写真家たちの新しい時代を切り開く“想像力・直感”といった、「写真」の枠にとらわれない自由な写真の数々に、写真はこんなに自由で良いんだという感想を抱きました。

写真初心者にとっては、身近ながら新しい「写真」の概念を知ることができたので、写真を撮りまくっている現代人にとって、写真とはなんなのかを見つめなおす良い機会になりました。

KYOTO GRAPHIEは終わってしまいましたが、こちらの展示はホテルアンテルーム京都にて6月29日まで開催されているので、興味のある人が見に行ってみてはいかがでしょうか?

Exhibition 2023: JAPAN PHOTO AWARD WINNERS+INTUITION ARTISTS JAPAN PHOTO AWARD VOL.10受賞作家+INTUITION ARTISTS | KG+
JAPAN PHOTO AWARD Vol.10 + INTUITION|2023 / 本展では2023年度受賞者5名の特集、そして本アワードの受賞は逃したものの、これから活躍が期待される写真家を集めた“INTUITION”の2部構成になっております。 新しい時代を切り開く“想像力”がここに集まっています。 そして...


一千年の長きにわたって伝統を守りながら、その一方で先端文化の発信地でもあり続けてきた京都。今も日本文化の中心として世界中を魅了する京都には”映える”スポットは数えきれないほどありますが、写真という誰もが身に着けた一般的なツールが芸術となるのはどこからなのでしょうか?
正直、写真初心者にとっては何が何だかわからない写真も多くありましたが、私にとって芸術的な写真とは「何かを考えさせる写真」なのではないかなと感じました。
普段これだけ写真を利用する生活の中で、まだまだ見つけられていない写真の持つ魅力を、この写真撮りまくる京都で知れるのはとても趣き深く、面白かったです。

皆さまにもこの記事を読んで芸術としての写真に興味を持ってもらえたら幸いです。

最後にKYOTO GRAPHIEのストーリーを引用して終わりたいと思います。

2011年の東日本大震災を受け、日本と海外の情報交換の稀薄さを目の当たりにしました。それはおのずと双方の情報を対等に受信発信する、文化的プラットフォームの必要性への確信となりました。

日本はカメラやプリントの技術は世界を先導しているにもかかわらず、表現媒体としての評価が日本ではまだまだ低いと感じられる「写真」。私たちはここに着目し、その表現手段としての「写真」の可能性を見据えるべく国際的フェスティバルをたちあげ、この世界が注目する伝統と革新の街「京都」で実現することを誓いました。

KYOTO GRAPHIE HPより
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