【天草・みらい株式会社】日本の端っこの天草で全国の地方が勇気を持てる企業誘致モデル地区を作る。

九州

近年、地方創生の盛り上がりやコロナ禍の影響もあり都市部企業の地方への移転・サテライトオフィス新設など地方進出が大きく進んだ。

一方、地方自治体も人口減少対策魅力的な雇用創出のために国や県の補助金と併せて企業誘致を推し進めたが、なかなか持続的な活動までには至らなかったり、地場に良い大きな影響を与えるまでには至らなかったケースが多い。

それはなぜか、

地方自治体側が誘致を目標にしすぎたことや、慣れない都市部企業との接点にマッチングミスが起きてしまったり、対象企業に対して地元での活動が根付くまでの伴走を上手く行えていなかったからだ。

その結果、企業は補助金を活用し家賃ゼロで地方にオフィスを構えられ、補助金が切れたら撤退。地元で雇用された人材がクビを切られるなど、とても誘致が成功だったとは言えないような状況が多々発生している。

そんな中、企業にも行政にも地元にも良い影響を与える企業誘致をいくつも実現している会社がある。

「みらい株式会社」という会社だ。

今回は私が天草を訪問したタイミングで天草で精力的に活動をされているみらい株式会社COOの大矢元起さんに話しをお聞きした。


みらい株式会社は本社を広島に置き、広島県内数か所、天草、南九州、秋田、札幌にサテライトオフィスを構え、各自治体と連携し「3方良し」の企業誘致を行っている。

また、この会社が面白いところは、企業誘致だけを行っているわけではなく、多角的経営で大手企業に対してのアウトソーシング事業をチームで行っている。
そのため、経験豊富なスタッフが地元の方々を対象にデジタル人材育成を行い、現在220人いるアウトソーシングチームのうち70名程度は天草市民の元受講生だという。

そのチームで地元の事業者さんのIT業務を受託したり、それこそ自社の企業誘致や地方創生に関わる仕事をしたり、地方創生事業が地方創生事業を生み出す入れ子構造になっている。

実際の業務を遂行する市民のほとんどは小学生以下のお子さんを持つママさんたちであり、最初はパソコンの触り方もわからないというレベルから1年足らずで大手企業のアウトソーシングを受けるにまで成長する方もいるという。

会社としてアウトソーシングのノウハウが数多くある上に、サテライトオフィスに行けば身近にハイスキル人材が居て、話を聞ける。更にチームとしては経験豊富なマネージャーが適材適所で業務を割り振ってくれるし、お互いにカバーし合える環境があるため、たとえ大手企業からの依頼であってもしっかりと取り組めるという訳だ。

地方の方々からすると、地方に居ながらでも都市部の大手企業の仕事をこなしているということで圧倒的に自信が付き、地元事業者さんの依頼を受注することに臆することもなくなる。

始めはみらい株式会社から業務委託契約という形で取り組み始めるが、経験を重ねれば正社員登用や誘致企業への入社もあり得るし、独立する方もいるという。

まさに、地域で自走する産業を生み出している。

地方に居て子供を持ちながらでもフレキシブルに働けるアウトソーシング業務は、地方にとって全く新しい働き方であり「働きたいけどある程度自由が利く仕事じゃないと行えない」という環境にいるママさんたちにはまさにうってつけの仕事だ。

企業誘致に話は戻る。

「受け身の企業誘致ではなく、攻めの企業誘致」

企業誘致のフェーズにおいて、一番難しいところはどこか、
それは都市部企業の「地方に進出したい」というニーズを探るところだ。

よくある”待ち”の企業誘致の取り組みとして、企業に対して好条件を提示したり、サテライトオフィスのマッチングイベントに出席したりすることが挙げられるが、これでは他自治体との競争になるし、成約率も低い。

みらい株式会社が実践した”攻め”の企業誘致の取り組みとして、フォームマーケティングというものがある。
全国無数にある企業に対して自社でリスト分けを行い、天草市と相性の良い企業、天草市が打ち出したい取り組みの関連企業に対して、webサイトにあるお問い合わせフォームから「天草での企業誘致に関心がありますか?」というメールを送るマーケティングの一種だ。

令和4年度から行い、昨年度はIT関連企業約7000社にメールを送り、返信があったのが106件、その中で天草に興味があると答えた企業が44社あり、そのうち6社が視察に訪れた。
また、製造業も追加して約8000社にアプローチ、157件の返信で25社とweb面談を行い、14社が視察まで行った。

この昨年の取り組みで、1年間で10社以上の企業が進出を決め、現在も着々と増え続けているという。

また、進出を推し進めるだけで終わらないのが、みらい株式会社の企業誘致モデルだ。

自治体と連携して誘致の取り組みを行っているため、当然官民連携のノウハウも豊富にあり、みらい株式会社自体が天草に進出している企業でもあるので地元との繋がりも深い。
その強みを生かして、進出企業と行政・地域との連携をサポートし、長く地域に根差せるように支援を行っている。

実際に起きた事例で言うと、来年度新設される県立天草工業高校のCGコースにIT系進出企業でCG業界でも最先端を走っている会社のトップクリエイターが講師に就任し、地元の高校生は並の県立高校の授業料でプロの授業が受けられるという効果があり、企業側は未来のIT人材育成の場を地域に持てて、地域との繋がりもできる。
もしかしたら、その特色を目当てにこれまでは天草から熊本市内に流出していた若者が、逆に天草に通いに来る。もしくは家族ごと天草に移住するということがあり得るかもしれない。

これはモデルの一つというだけで、今後は天草中、ひいては全国の地方で実践できる取り組みである。

隣の隣の市まで電車も走っていない、天草という日本の端っこでできたなら、確実にどこでも達成できる。

今は誘致に成功し、ともに歩みを進めつつある第一フェーズ。

これからは誘致した企業が長期に渡り、天草で事業活動を進めていく第二フェーズ。

天草の未来では何が起きているのか、今後の天草も見逃せない。

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